最も工業化に成功した国・日本
明治維新以来、日本はきわめて短期間で工業化に成功した国だと言われる。
工業化というのは、農耕を中心とした社会から工業を中心とした社会に移行することだ。
そのためには規格化・専門化・同時化・集中化が必要で、また生産規模の極大化も起こってくる。
規格化というのは簡単に言うと、部品の大きさだとか重さなどを定めることである。
専門化というのは全部を一企業で作るのではなく、ある特定の部品だけを作る企業がたくさん出来ると言うことである。
たとえば自動車を作るような場合、タイヤはタイヤメーカーが作るし、ガラスはガラスメーカーが専門に作る。
そうやって必要な部品の規格さえ決めておけば、部品は他の専門企業に作ってもらえる。
そして部品と工員を、決まった時間に工場に集めて(同時化)それを丁寧に組み立てれば商品が完成するというわけである。
そして輸送コストや同時化のために工場は一か所に集まるようになり、やがて京浜や阪神、中京や北九州に工業地帯ができた。
工業地帯の近くには従業員が住む団地や住宅地が開発され、全国各地から多くの労働者が集められた。
(集中化)そして工場と住宅地を結ぶバスや鉄道などが発達し、従業員ための施設や街ができ、工場も街もドンドン大きくなっていったわけだ(規模の極大化)。
そうして1980年前半には、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」などと呼ばれ、日本は最も工業化に成功した国という評価を受けることとなる。
工業社会の次の社会のメシのタネは何か?
ところが同じ1980年代前半、日本が世界の工場と呼ばれ、最も工業化に成功した国と呼ばれるようになった頃、アメリカでは産業の空洞化対策と、新しい経済についての議論が高まっていた。
未来学者アルビン・トフラーの「第3の波」本が出版されたのがまさにこの1980年で、トフラーはこのとき既に、アメリカに大きな変化の兆候が現れているとした。
すなわち、工業社会の特徴である規格化・専門化・同時化・集中化・規模の極大化が、すでに最終局面・飽和状態・平衡状態に至っており、経済はもう別の方向に動き出しているという指摘をしたわけだ。
その大きなトレンドを10個ピックアップしたのがネイスビッツの「メガトレンド」であり、たとえば「技術が高度に進むと、人は他人と触れあう事を、より大事に考える」などというトレンドが生まれているとした。
(1982年)つまりアメリカではこの頃、次のメシのタネが何か、それを必死で捜していたわけである。
そしてそれがどうもハッキリしないために、アメリカはここで大バクチを打つ。
それがつまり「レーガノミクス」というやつだ。
レーガノミクスの要点は、
- 減税によって、投資を増やす。
- 規制緩和して、投資を増やす。
- 政府支出を節約して軍事開発費に回し、強いアメリカを復活させる
NEXT:レーガノミクス 新時代へのバクチ